『モノノ怪』
形、真、理と、深そうな言葉で語られているが、実態はモノノ怪の形と経緯と恨みの対象といった程度のことであって、大したことはない。そういう意味では深く考えさせられるような話を求める人には、浅はかに見えて面白くない作品だろう。しかし、僕にとってそんなものは、色を巧みに使った演出や伝統的な怪談や恐怖話が持つ雰囲気の再現と仕掛けのための方便でしかなく、深いに越したことはないが深くなくても全然問題なかった。
この作品は、色を巧みに使った演出や伝統的な怪談や恐怖話が持つ雰囲気を再現と仕掛けが、非常に珍しくて面白い作品でした。
『Over Drive』
勝つことや強さ、志や心意気とは根本的に関係があってもなくてもどちらでも良い。できれば、あった方が見ていてすんなり受け入れられる。そのできればは、作品の核となる場合も多い。この作品にはそれがなかった。また、ない場合でも納得できる論理があれば、作品の核となる場合こともある。それもこの作品にはなかった。
その癖、才能とそれを生かした努力についてはかなり敏感で、天然で良い奴そうな雰囲気の主人公は才能があって、それに見合った努力が結果に繋がりそうな流れがある。その主人公が鬱陶しいキャラクター達の志や心意気に対して何の反発も決意もなく流されている様、それが気に入らなかった。それだけなら、まだ良いが、半端に現実のツールドフランスを持ち出してきて、そこで活躍する展開をでっちあげられると、「ねえよ」と言わざるを得なかった。
端的に言えば、お洒落と芯らしきものはあるが、実態はふにゃふにゃ。

違和感

2007年10月2日 1話雑感
『D.C.II〜ダ・カーポII』第1話
Iの世界観は今一思い出せないが、同じように年中咲いている桜があって、主人公が居て、妹やクラスメイトが居る。
必要以上に説明をしない姿勢だが、必要最低限は分かるようになっていて、それは非常に良い。話の目新しさなんてないだろうけど、映像作品が映像である意義を生かしてくれそうで、その点に期待したい。
『ぼくらの』
ある夏の死に直面したそれぞれの足掻きが話の核。この作品世界全体的で決定的に真心が欠けていた。鬱陶しいキャラクターが死のうとどうしようとどうでもいい。冷たいがそれが偽らざる感情であり、それ以上のものはない。ただ、所々で力の入った作画があってそれだけは良かったと思う。
『ぷるるんっ!しずくちゃん』
あえて言うのも野暮だが、声からも推測出来るように、根本は『キョロちゃん』だろう。ただ、この作品は、キャラクターをかなり自由に作れるし、再利用も上手い上に、話のパターンも完成しているので、出来る限り続けられる点が新しい。
いつも通りながら、皆のしずくちゃんを必要とする願いが通じる場面ではホロリもあって、実にこの作品らしかった。
とりあえず一区切りは付いたけど、リニューアルした新シリーズが楽しみだ。
『天元突破グレンラガン』
タイトルを聞いたり見たりした時に想像した印象が、そのまま作品の印象であり、看板に偽りはなかった。
この作品は、カミナであり、シモンであり、紅蓮団であり、ドリルが魂で、空っぽなのに重くてビリビリくる。作品の構造にある心理的なものも、直接的で分かり易くて古臭いけど、そんなの関係なくて、安っぽい言い方ではあるが、最高だ。
『ななついろ★ドロップス』
虹の雫を集めるというのは、どう見てもきっかけのための方便で、それを使って作る恋愛話はこじんまりしていたが、そのこじんまりが逆に潔くて良かったと思う。悪意がないので奇跡も許容できたし、相変わらずベタは良いですね。
『キスダム−ENGAGE planet−』
争い合わせ最強の生物を作り超越する、その過程で世界の危機が訪れているにもかかわらず、ヒロインへの感情に振り回されるキャラクター達は、自分勝手に見える。そういう自分勝手な世界系ではあるものの、一概に独りよがりといえるものでもなかったので、二人のシュウが迷いながらも信じた愛は世界に何かを残しただろう。そういう意味でハジマリだったのだろうと思う。
まあ、メタメタな制作状況が画面からも伝わって来る中で、かなり良い着地が出来たと思う。
『史上最強の弟子 ケンイチ』
強固な信念と修行、それがこの作品の根底にあり、そこに志を共にするものが集まり出来上がる輪が、実に理想的な信頼の輪として描かれていて良かった。
動きを枚数でなくカットで見せるのは、予算不足と時間不足に対する解答としての側面もあるだろうが、この作品では、省エネでありながらも立派な演出に作り上げられていて上手かった。
修行の描写はコミカルで、不良集団もリアリティーに欠けるが、それを割り切って作品を見た時には、作品内の論理が繋がって一本の糸が出来上がっている。これがアニメの培ってきたフィクションの力であることは間違いない。
『風の少女エミリー』
書きたいままに書く少女が、出会いと別れを経て、誇りを持ち、大人となり、自分と向き合い。やっぱり書きたいものを書こうという決意の下に作り上げた作品の扱われ方。それは、まるでエミリーというキャラクターの伝記のような作品でした。
特に、最後に語りかけてくるのは浮いているけど、台詞が実にこの作品らしくて良かった。
『桃華月憚』
全体的に意味がしっかりと芯のある設定をベースにファンサービスやあまりに倒錯的で完全アウトな話も仕立て方で調整してあったりした。それを、時系列を意識した作りで、前に見た回から見て繋がっている部分と断絶している部分とが上手く作ってあった。逆から行っても最後は重なるのは、ベタだけど輪廻のように感じられ良かったと思う。
たまに登場するこういう実験的な作品が、アニメの多様性の一翼を担っている。
『DARKER THAN BLACK・黒の契約者』
タイトル通りに暗い雰囲気が漂っていたが、それと同じ位に信じる心や人の意志の力といった明るい雰囲気も持っていて、それに加えてアクションのキレと安定のある作画の加わった混ぜこぜがこの作品の魅力だったと思う。
途中の話を省いた短編でも成り立つと思えそうだが、途中の話があったからこそ、最後の黒の選択に大きな意味が生まれたのであり、話をキャラクターや視聴者の経験として積み立てたと言える。
最後に、竹○病敗れたり。
『ケンコー全裸系水泳部ウミショー』
OPで制作会社の名前が出るカットのふざけ具合に始まって、作品のほとんどが冗談の雰囲気の中にあって、時折見せる本気がこの作品の良い所だった。特に最終回の大会の場面とサブタイトルの意味が分かる場面や振り返る場面の本気具合は、ただの萌えバカアニメで終わらせない気概を感じるものだった。そういう風に作ってもらえた作品は幸せだと思う。
『CODE−E』
アニメでは、近未来SFのような設定に比重を置いた作品が、その技術水準を受けたキャラクターの心を描けないで失敗することが多い。しかしながら、この作品はそういった失敗はなく、他のジャンルの作品以上に丁寧に流れを作り、それに乗って心が伝わってきた。
かえって最後に謎を深める形で終わったので、続きがあるものと期待して待ちたい。そう思える良い作品だった。
『ながされて藍蘭島』
100人が見れば100人が予想できる落ち。それが、この作品の根底にあるものであり全てである。ただ、それをシリーズ全体を通して安定以上の高水準の作画でやったことと、「絶対に」に対するリアクションネタをベタとして定着したこととそれを話の中でも生かしたことは、この系統の作品全てが目指すべき指標の一つとして残るだろう。
受け手を選ぶがこういう作品が今のテレビアニメの地力なのだと思う。
設定上の異常を異常であるとしか思えない人や慣れない人には、全くお薦めできない作品である。なぜなら、見ていて不愉快になるだけだからだ。
『スカルマン』
完全に全貌が説明されたわけでもないが、それとなく分かるようには作られていた。そうやって、ある事件とそれを追いかける形として上手く作られていたと思う。ただ、企画全体での収益上仕方ないとはいえ、EDのタイアップが世界観とミスマッチに思えたことが残念ではある。
『アイドルマスター XENOGLOSSIA』
キャラクター達も認める通り、IDOLは恋人であり、その恋人がアイドルを守り、アイドルは日常へと帰るだけの話。
ただ、そういう結末への筋道はわりとどうでもよくて、筋道の間での見せ方に肝があって、それは出来ていた方だと思う。所々のファンサービスや不思議キャラに石田彰とかのベタベタは結構好きでした。
当然ながら、(聞いたままの洒落なので)アイマスである必要性については触れないように。
『魔法少女リリカルなのはStrikerS』
主人公の役回りをするキャラクターが、それぞれの話の展開によって変わっているように見えたので、機動六課やStrikerSが主人公だったのだと思う。ただ、アクション回とそうでない回でバラつきがあったり、集団が主人公でありながら今一つ掴めていないキャラクターに活躍されてもあまり盛り上れず、キャラクターが多過ぎて拾いきれていないように見えたのは勿体無い。
『ぽてまよ』
それでどうなるのかと言われれば、どうにもならない。それが、この作品の全てであり、そういう予定調和の下に予測外の展開やベタな展開があって、花を愛でる様に毎週楽しんで見られた。ありがとう。
『ロミオ×ジュリエット』
大筋においては本家と変わらないが、この作品特有の追加要素によってかなり印象が変わった。まあ、それでもこの世界に満ち溢れる愛に共感できない僕には、(本家の筋通りではあるものの)ロミオとジュリエットの世界認識があまりに狭く悲しいものに見えた。
そういう狭い世界認識の比喩として閉鎖世界が設定されたとも見られるので、その点は作り手も意識していたのだろうと思える。

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