『sola』
たとえ永遠の命を持っていても、失った絆は埋めがたい。思い出であっても、掛け替えの無い絆というものはある。それぞれの命の長さは違うのだから、そうやって良い方へ意識していかないと辛い。日常を通してそれを意識させ、埋め合わせる話。仮初の命を賭けて少女を救う話ともいえる。
特に面白かったというわけでもないけど、作画が致命的に崩れなかったことは良かったし、活動的ながらもウィスパーボイスなヒロインが新鮮で、それなりに毎週見れた。1クール作品はそれで良いと思います。
たとえ永遠の命を持っていても、失った絆は埋めがたい。思い出であっても、掛け替えの無い絆というものはある。それぞれの命の長さは違うのだから、そうやって良い方へ意識していかないと辛い。日常を通してそれを意識させ、埋め合わせる話。仮初の命を賭けて少女を救う話ともいえる。
特に面白かったというわけでもないけど、作画が致命的に崩れなかったことは良かったし、活動的ながらもウィスパーボイスなヒロインが新鮮で、それなりに毎週見れた。1クール作品はそれで良いと思います。
『英國戀物語エマ』
時代ものは、今の時代の常識で推し量れば、おかしな点が多々あるものだ。それに加えて、落ちの大筋が予想できて実際その通り進む作品の場合は、途中が少しでも間延びすれば、それを余計なものであるかのように感じやすい。昨今の作品サイクルの速さがそれを更に後押ししている。
その点、間延びもほとんどなく、およそ余計な場面と呼べるものもほとんどないので、テーマがありふれていながらも濃い内容だった。それに、作中の時代としては異例の決断であるが、それは今の常識によって決断されたものでなかったのも大きい。この作品の雰囲気は、現代の常識や知識でいじっても成り立つ雰囲気ではない。そうやって、淡々としていながらも細部まで作りこまれていて、そういう配慮が積み重なり、じわじわと作品を押し上げていたと思う。
おそらくは作中の時代もそれにあたるだろうが、昔の恋愛小説は悲恋や心中で終わるケースが多い。しかしながら、大方の予想通りで終わったのでほっとした。それでも全体に漂う破滅の綱渡りが娯楽としての恋愛ものの真骨頂ですな。
何はともあれ、完結して良かったです。お疲れ様でした。
時代ものは、今の時代の常識で推し量れば、おかしな点が多々あるものだ。それに加えて、落ちの大筋が予想できて実際その通り進む作品の場合は、途中が少しでも間延びすれば、それを余計なものであるかのように感じやすい。昨今の作品サイクルの速さがそれを更に後押ししている。
その点、間延びもほとんどなく、およそ余計な場面と呼べるものもほとんどないので、テーマがありふれていながらも濃い内容だった。それに、作中の時代としては異例の決断であるが、それは今の常識によって決断されたものでなかったのも大きい。この作品の雰囲気は、現代の常識や知識でいじっても成り立つ雰囲気ではない。そうやって、淡々としていながらも細部まで作りこまれていて、そういう配慮が積み重なり、じわじわと作品を押し上げていたと思う。
おそらくは作中の時代もそれにあたるだろうが、昔の恋愛小説は悲恋や心中で終わるケースが多い。しかしながら、大方の予想通りで終わったのでほっとした。それでも全体に漂う破滅の綱渡りが娯楽としての恋愛ものの真骨頂ですな。
何はともあれ、完結して良かったです。お疲れ様でした。
『セイントオクトーバー』
最終回は流石に気合の入った作画だった。それでいながら、笑いの分かっているテロップがあったりと、いつも通りの安っぽさと真面目さが交じり合っていた。
決着がついた後、小十乃が、否定されながらも迷いなく現状を力強く肯定する場面は、積み上げてきた時間に意味を感じられるものだった。積み上げてきた時間の中身に意味はないけど、積み上げてきた時間があったことに意味はあった。
全体的に、安っぽいけど真面目さがあって、それが笑える作品でした。2クールもどうやって引っ張るのだろうと思ったけど、意外に引っ張られました。お疲れ様。
最終回は流石に気合の入った作画だった。それでいながら、笑いの分かっているテロップがあったりと、いつも通りの安っぽさと真面目さが交じり合っていた。
決着がついた後、小十乃が、否定されながらも迷いなく現状を力強く肯定する場面は、積み上げてきた時間に意味を感じられるものだった。積み上げてきた時間の中身に意味はないけど、積み上げてきた時間があったことに意味はあった。
全体的に、安っぽいけど真面目さがあって、それが笑える作品でした。2クールもどうやって引っ張るのだろうと思ったけど、意外に引っ張られました。お疲れ様。
ジレンマの上手な使い方
2007年7月1日 シリーズ全体の感想『出ましたっ!パワパフガールズZ』
黒い光を封じるためには、白い光を取り出さなければならない。それは、ヒーローとして正しい行動が、ヒーローを辞めなければならないこと同意である。
それを知った後の迷うガールズ達。そこで、ピーチがただのロボット犬に戻ってもケンとの友情は消えないからそれで良いと言う。その決意がガールズ達を導く場面はグッときた。落ちは都合が良過ぎる内容だけど、それさえも許容できる作品だった。
基本的には無軌道ながらも、要所要所で真面目な話があって、最後の最後はヒーロー自体を問うことまでした。それは、ヒーロものというジャンル自体を、力強く肯定するものだった。そういうものがキッチリあったことは素晴らしい。
一年間楽しめました。ありがとう。
黒い光を封じるためには、白い光を取り出さなければならない。それは、ヒーローとして正しい行動が、ヒーローを辞めなければならないこと同意である。
それを知った後の迷うガールズ達。そこで、ピーチがただのロボット犬に戻ってもケンとの友情は消えないからそれで良いと言う。その決意がガールズ達を導く場面はグッときた。落ちは都合が良過ぎる内容だけど、それさえも許容できる作品だった。
基本的には無軌道ながらも、要所要所で真面目な話があって、最後の最後はヒーロー自体を問うことまでした。それは、ヒーロものというジャンル自体を、力強く肯定するものだった。そういうものがキッチリあったことは素晴らしい。
一年間楽しめました。ありがとう。
細部への気配りが大事
2007年6月30日 シリーズ全体の感想『この青空に約束を』
当初からの寮を去るという予定調和のもと、その寮や仲間との日々の価値が出せるかどうかに作品の真価はあっただろう。
実際、処理を施した画像で今までの思い出を振り返る場面や、呼びかける時の呼ぶ側と呼ばれる側のキャラクターの特徴を上手く表した枕詞といった演出で、思った以上に良く見えた。
個々の回では、致命的な部分の多かった話を、無理矢理捻じ曲げて印象を変えるほどの力。演出の力は偉大なり。
当初からの寮を去るという予定調和のもと、その寮や仲間との日々の価値が出せるかどうかに作品の真価はあっただろう。
実際、処理を施した画像で今までの思い出を振り返る場面や、呼びかける時の呼ぶ側と呼ばれる側のキャラクターの特徴を上手く表した枕詞といった演出で、思った以上に良く見えた。
個々の回では、致命的な部分の多かった話を、無理矢理捻じ曲げて印象を変えるほどの力。演出の力は偉大なり。
『神曲奏界ポリフォニカ』
神曲楽士の遺した自動演奏装置の演奏に歌を乗せ神曲にしようとする精霊。しかし、神曲を録音したものは神曲の紛い物であり神曲ではない。さらに、そのことが精霊自体の命を削ることにもなる。当然のように、正論による説得は意味をなさない。
そんな時、精霊との共存に反対する勢力による精霊の暴走を利用したテロが起こる。街からは明かりが失われ、その様は精霊と人間の断絶にも見える。暴走を抑えるために紛い物の神曲を奏でる精霊。街に響き渡るその曲に、ある者は曲を、ある者は歌を、ある者は手拍子を、各話に登場したゲストキャラも再登場し、それぞれが思い思いに乗せていく。そうして膨らんでいった曲は紛い物ではなく本物の神曲となって自体は収拾し、精霊達の光で街に明かりが灯る。それは、精霊と人間の絆であり、主人公自身にとっても、違う存在ではあるが共存の可能性を感じさせるものだ。そこへ駆け寄る仲間と手を取り合う二人。
そう、これです。作られた意識でない個々の意識が集合していって大きな流れになる。それを精霊の美しい歌声に乗せて1曲全部の演奏により見せる。普遍的幻想を具体化する高度な演出。底力を見たような気がします。
ちょっとした話の見せ方の悪印象や、ヤシガニ作品に数え上げられる全体的に低調な作画によって、最後まで通して見た人は少ないのではないかと思う。そうやってヤシガニ作品の括り以外の部分は忘れ去られていくだろうが、このラストの流れは後世に伝えていきたいと思わせるものがあった。良いものが見れました。ありがとう。
神曲楽士の遺した自動演奏装置の演奏に歌を乗せ神曲にしようとする精霊。しかし、神曲を録音したものは神曲の紛い物であり神曲ではない。さらに、そのことが精霊自体の命を削ることにもなる。当然のように、正論による説得は意味をなさない。
そんな時、精霊との共存に反対する勢力による精霊の暴走を利用したテロが起こる。街からは明かりが失われ、その様は精霊と人間の断絶にも見える。暴走を抑えるために紛い物の神曲を奏でる精霊。街に響き渡るその曲に、ある者は曲を、ある者は歌を、ある者は手拍子を、各話に登場したゲストキャラも再登場し、それぞれが思い思いに乗せていく。そうして膨らんでいった曲は紛い物ではなく本物の神曲となって自体は収拾し、精霊達の光で街に明かりが灯る。それは、精霊と人間の絆であり、主人公自身にとっても、違う存在ではあるが共存の可能性を感じさせるものだ。そこへ駆け寄る仲間と手を取り合う二人。
そう、これです。作られた意識でない個々の意識が集合していって大きな流れになる。それを精霊の美しい歌声に乗せて1曲全部の演奏により見せる。普遍的幻想を具体化する高度な演出。底力を見たような気がします。
ちょっとした話の見せ方の悪印象や、ヤシガニ作品に数え上げられる全体的に低調な作画によって、最後まで通して見た人は少ないのではないかと思う。そうやってヤシガニ作品の括り以外の部分は忘れ去られていくだろうが、このラストの流れは後世に伝えていきたいと思わせるものがあった。良いものが見れました。ありがとう。
その一瞬が美しく尊い
2007年6月22日 シリーズ全体の感想『ひとひら』
内気な少女が演劇や出会いと別れを通して見せる姿は、咲かせた花と散ってゆくひとひらのようだった。
全体を通して一定の水準を保ちつつ、重要な場面では力が入れられていた作画は担当スタジオの底力を見られたと思う。カットや台詞で説明しきるのが難しそうな設定は、こちらの想像力に任せる形でかなり省略されていたが、説明尽くしの内容では人生の瞬間を切り取れるとも思えない。実際、瞬間の美しさと尊さが描けていたのだから、それで良かったと思う。。
後世に語られるような突出した作品とも思えないが、僕にとって、後世でも語る価値を感じる作品でした。
内気な少女が演劇や出会いと別れを通して見せる姿は、咲かせた花と散ってゆくひとひらのようだった。
全体を通して一定の水準を保ちつつ、重要な場面では力が入れられていた作画は担当スタジオの底力を見られたと思う。カットや台詞で説明しきるのが難しそうな設定は、こちらの想像力に任せる形でかなり省略されていたが、説明尽くしの内容では人生の瞬間を切り取れるとも思えない。実際、瞬間の美しさと尊さが描けていたのだから、それで良かったと思う。。
後世に語られるような突出した作品とも思えないが、僕にとって、後世でも語る価値を感じる作品でした。
『ロケットガール』
ロケットガール以外のキャラクターはコメディー展開の為にちょっと嫌な奴や酷い奴に見える行動や言動になってしまったものの、ロケットに懸ける情熱は本物だった。ロケットの大気圏からの突破が閉塞感からの突破の暗喩として強調されていなかったこと、ロケットガールがそういった閉塞感ではなく、好奇心や情熱に応える形だったことが全体の雰囲気を良い方に保ち続けた。作画も高めの水準で安定していたことも大きい。面白かったです。お疲れ様。
ロケットガール以外のキャラクターはコメディー展開の為にちょっと嫌な奴や酷い奴に見える行動や言動になってしまったものの、ロケットに懸ける情熱は本物だった。ロケットの大気圏からの突破が閉塞感からの突破の暗喩として強調されていなかったこと、ロケットガールがそういった閉塞感ではなく、好奇心や情熱に応える形だったことが全体の雰囲気を良い方に保ち続けた。作画も高めの水準で安定していたことも大きい。面白かったです。お疲れ様。
『ひだまりスケッチ』
キャラクターをキャラクターとして認識させ愛着を持たせることに特化した内容だった。キャラクターをキャラクターとして認識させてしまえば、時系列をシャッフルしていようと行動が違和感なく受け入れられる。逆に、時系列をシャッフルしたことによってキャラクター同士のやりとりや行動が、ある時点ならこうだろうなと想像される内容かつ納得のいく内容になっていて、物語はないけど物語を想像させる内容として相乗効果を生み出していた。背景の平面具合や実写の取り込みといった演出というかお手軽というかも織り込まれていて、挑戦的でかつ面白い作品でした。
キャラクターをキャラクターとして認識させ愛着を持たせることに特化した内容だった。キャラクターをキャラクターとして認識させてしまえば、時系列をシャッフルしていようと行動が違和感なく受け入れられる。逆に、時系列をシャッフルしたことによってキャラクター同士のやりとりや行動が、ある時点ならこうだろうなと想像される内容かつ納得のいく内容になっていて、物語はないけど物語を想像させる内容として相乗効果を生み出していた。背景の平面具合や実写の取り込みといった演出というかお手軽というかも織り込まれていて、挑戦的でかつ面白い作品でした。
『ProjectBLUE 地球SOS』
一昔前の未来予想図通りの世界は未来でありながら、どこかレトロさを感じさせるものであった。二人の主役の内、眼鏡の方も活躍した点は今の作品における眼鏡イケメン以外の眼鏡キャラにとって朗報だったことは確かだ。
と冗談を挟みつつ。世界だ何だといいつつも、広げすぎずにまとめた事と、レイアウトやカメラ位置のセンスが良かったこと、安定した作画。変に物語の持つ構造に内省的じゃなかったこと。
一回りして、手堅さが冒険になる現状において、手堅さの持つ力を再確認できた。
一昔前の未来予想図通りの世界は未来でありながら、どこかレトロさを感じさせるものであった。二人の主役の内、眼鏡の方も活躍した点は今の作品における眼鏡イケメン以外の眼鏡キャラにとって朗報だったことは確かだ。
と冗談を挟みつつ。世界だ何だといいつつも、広げすぎずにまとめた事と、レイアウトやカメラ位置のセンスが良かったこと、安定した作画。変に物語の持つ構造に内省的じゃなかったこと。
一回りして、手堅さが冒険になる現状において、手堅さの持つ力を再確認できた。
俺達の戦いはこれからだ
2007年4月16日 シリーズ全体の感想『Venus Versus Virus』
伏線らしい伏線はなんとか消化したものの、決意を固めていざって所で終わりは酷い。週間漫画の打ち切りじゃあるまいし、あれだけ詰め込んでおいて、ラストバトルとかエピローグを残したら駄目でしょう。
伏線らしい伏線はなんとか消化したものの、決意を固めていざって所で終わりは酷い。週間漫画の打ち切りじゃあるまいし、あれだけ詰め込んでおいて、ラストバトルとかエピローグを残したら駄目でしょう。
『幕末機関説 いろはにほへと』
各々の宿命が、幕末を舞台とした以上必然となる宿命として、終焉を迎える結末。ただ、そこへ向かう心理が、神秘の力で簡単に出来上がってしまったと見えて安い印象。男は船で女は港ってことでしょうかね。まあ、達人同士は簡単につばぜり合いしなかったり、そのためにすり足で間合いを取る、つばぜり合いで刃こぼれするといった具合に、アニメらしいアクションとは異なる方向でのガチさが伝わってきたので良し。また、この方向は、最近のアニメの殺陣に不足していたので、その点でも良し。芝居小屋での口上や芝居も良かった。
各々の宿命が、幕末を舞台とした以上必然となる宿命として、終焉を迎える結末。ただ、そこへ向かう心理が、神秘の力で簡単に出来上がってしまったと見えて安い印象。男は船で女は港ってことでしょうかね。まあ、達人同士は簡単につばぜり合いしなかったり、そのためにすり足で間合いを取る、つばぜり合いで刃こぼれするといった具合に、アニメらしいアクションとは異なる方向でのガチさが伝わってきたので良し。また、この方向は、最近のアニメの殺陣に不足していたので、その点でも良し。芝居小屋での口上や芝居も良かった。
『地獄少女・二籠』
人の業深さ、人の世の罪深さ。そういった、人の持つ一面が地獄通信を通して晴らされるうらみの数々によって描かれた。
前回のシリーズは地獄少女の個人的な業の話だったが、今回のシリーズでは1人の少年を中心とした街全体を人の世に見立ててそこでの業の話。自分の手を汚さない地獄通信から、段々と自分の手を汚す手段へと変化していく過程は、強い不快感と納得できるものだった。今一度人柱になることで、地獄少女自身も業から解放されたと見せた後に、やはり人は度し難いのかと思わせるカットをあっさりとした流れの中で持ってきた。
今更、人の度し難さの話をとは思うが、安易な救いや、周知の事実の暴き立てではなく、事実を事実として描いた作風は好感が持てる。仕置き話を、うらみの持つ連鎖性に焦点を当てて連続性を持った話に仕上げたことが良かった。
人の業深さ、人の世の罪深さ。そういった、人の持つ一面が地獄通信を通して晴らされるうらみの数々によって描かれた。
前回のシリーズは地獄少女の個人的な業の話だったが、今回のシリーズでは1人の少年を中心とした街全体を人の世に見立ててそこでの業の話。自分の手を汚さない地獄通信から、段々と自分の手を汚す手段へと変化していく過程は、強い不快感と納得できるものだった。今一度人柱になることで、地獄少女自身も業から解放されたと見せた後に、やはり人は度し難いのかと思わせるカットをあっさりとした流れの中で持ってきた。
今更、人の度し難さの話をとは思うが、安易な救いや、周知の事実の暴き立てではなく、事実を事実として描いた作風は好感が持てる。仕置き話を、うらみの持つ連鎖性に焦点を当てて連続性を持った話に仕上げたことが良かった。
『スーパーロボット大戦OG 〜ディバイン・ウォーズ〜』
スーパーロボットが、ディバイン・ウォーズするための大層な舞台を設定したものの、終盤にかけて「実は〜でした」と「実は実は〜でしたと思ったら、〜でした」が頻出した。もっとこう、世界を守らなければならない使命感というか義務感とは違った、見ていて共感できる意志が順立ててあれば、「実は」の連続もフィクション過ぎると感じることもなかったかなと。主人公についても、不快感こそないが好感が持てたわけでもない。その点も、御都合主義が気になった原因か。
スーパーロボットが、ディバイン・ウォーズするための大層な舞台を設定したものの、終盤にかけて「実は〜でした」と「実は実は〜でしたと思ったら、〜でした」が頻出した。もっとこう、世界を守らなければならない使命感というか義務感とは違った、見ていて共感できる意志が順立ててあれば、「実は」の連続もフィクション過ぎると感じることもなかったかなと。主人公についても、不快感こそないが好感が持てたわけでもない。その点も、御都合主義が気になった原因か。
『京四郎と永遠の空』
介錯アニメのセルフパロディーともいえる布陣を中心に、もはや古典ともいえる表現や姫と王子とか、運命だ何だと言っても、所詮はつがいと、そこから排除されたものとが目立った。どいつもこいつもくっ付いて、それが倒錯的で排他的で祝福しようという気も起こらない。はっきりいって、鬱陶しかった。僕の立ち位置と近いキャラクターも居たものの、惨めで見てられなかった。恋愛と願望充足、そのどちらもが排他的であり、混ざった効果は絶大だった。馬鹿らしくて笑えたのが、せめてもの救いか。
介錯アニメのセルフパロディーともいえる布陣を中心に、もはや古典ともいえる表現や姫と王子とか、運命だ何だと言っても、所詮はつがいと、そこから排除されたものとが目立った。どいつもこいつもくっ付いて、それが倒錯的で排他的で祝福しようという気も起こらない。はっきりいって、鬱陶しかった。僕の立ち位置と近いキャラクターも居たものの、惨めで見てられなかった。恋愛と願望充足、そのどちらもが排他的であり、混ざった効果は絶大だった。馬鹿らしくて笑えたのが、せめてもの救いか。
『ヤマトナデシコ七変化』
最後までレディーにはならず、ホラーをこよなく愛する少女であり続けたが、何となく本質的な意味でのレディーだったのだと思わせるだけの力技はあった。正直、見せ場以外の絵が、段々とマルチョンコンテのようなものばかりになっていった。それでも、演者の力量とテンポの良さで、何とか見られるものになっていた。
改めて、演者の力と演出の力を感じさせられる作品だった。
最後までレディーにはならず、ホラーをこよなく愛する少女であり続けたが、何となく本質的な意味でのレディーだったのだと思わせるだけの力技はあった。正直、見せ場以外の絵が、段々とマルチョンコンテのようなものばかりになっていった。それでも、演者の力量とテンポの良さで、何とか見られるものになっていた。
改めて、演者の力と演出の力を感じさせられる作品だった。
『金色のコルダ 〜Primo Passo〜』
主人公の少女と音楽少年達の恋というか微妙な距離の青春を、音楽に縁のない少女が魔法のバイオリンを手に入れてからの生活を通して作った。表面だけを見れば、そういう作品であり、事実そういう場面も多々あった。しかしながら、話の核が最初の大技である魔法のバイオリンと、それを通しての音楽との関りへと移っていった。魔法のバイオリンだけの力ではなく、自分自身の意思と力によって音楽と関っていこうと決めること、そして、誰ともくっ付くことない上で、集大成であるコンクールでの「私は音楽に恋している。」という台詞。主人公の演奏シーンだけ審査員の台詞は無く、評価を視聴者に委ねるといった演出。本当の意味で、皆に音楽に迎え入れられるラスト。それらは、全体を通して一定上の作画を保っていたからこそ良く見えたことは間違いないだろう。そうして、願望充足のためのこじ付けをこじ付け以上のものに仕上げたことは凄い。そういう意味で、有象無象の願望充足を話に仕上げるお手本のような作品だった。番組最後に毎回あるワンポイントクラシックが、意外と勉強になったのも良かった。
主人公の少女と音楽少年達の恋というか微妙な距離の青春を、音楽に縁のない少女が魔法のバイオリンを手に入れてからの生活を通して作った。表面だけを見れば、そういう作品であり、事実そういう場面も多々あった。しかしながら、話の核が最初の大技である魔法のバイオリンと、それを通しての音楽との関りへと移っていった。魔法のバイオリンだけの力ではなく、自分自身の意思と力によって音楽と関っていこうと決めること、そして、誰ともくっ付くことない上で、集大成であるコンクールでの「私は音楽に恋している。」という台詞。主人公の演奏シーンだけ審査員の台詞は無く、評価を視聴者に委ねるといった演出。本当の意味で、皆に音楽に迎え入れられるラスト。それらは、全体を通して一定上の作画を保っていたからこそ良く見えたことは間違いないだろう。そうして、願望充足のためのこじ付けをこじ付け以上のものに仕上げたことは凄い。そういう意味で、有象無象の願望充足を話に仕上げるお手本のような作品だった。番組最後に毎回あるワンポイントクラシックが、意外と勉強になったのも良かった。
小さく纏まるのもまた良し
2007年4月3日 シリーズ全体の感想『ひまわりっ!!』
謎の組織とか、異能の敵とか、明らかになる秘密といったシリアスな要素が出てきても、必要以上に暗くならずに、相変わらずの明るい雰囲気を保ったままで、それが最後まで一貫していた。あくまで、くの一コメディーの範疇から広げすぎず、手堅く纏めた。
特に目立って面白い部分があるわけでもなかったが、2期であるものの、実質1クールのテレビアニメらしい作品であった。
謎の組織とか、異能の敵とか、明らかになる秘密といったシリアスな要素が出てきても、必要以上に暗くならずに、相変わらずの明るい雰囲気を保ったままで、それが最後まで一貫していた。あくまで、くの一コメディーの範疇から広げすぎず、手堅く纏めた。
特に目立って面白い部分があるわけでもなかったが、2期であるものの、実質1クールのテレビアニメらしい作品であった。
『ゴーストハント』
ど素人の主人公が、心霊現象に対する知識を深めて、実践していく過程と並行して、いつもの面々が構築されていった。見ているこちらも、心霊現象の復習とその想定が出来るようになった。そこからのズレを作ることによって、話が構築されており、納得しながら見られる話になっていた。こういう、たぶんそうなるなが、そうきたかと思わせる話は、好きだ。そこに、心霊現象特有のおどろおどろしさが加わって、決めのシーンは、かなり怖かった。ある意味でツッコミ所なのだけど、そういう作りでありながら、いつもの面々との馴染み深さまで構築できたのは凄い。
ど素人の主人公が、心霊現象に対する知識を深めて、実践していく過程と並行して、いつもの面々が構築されていった。見ているこちらも、心霊現象の復習とその想定が出来るようになった。そこからのズレを作ることによって、話が構築されており、納得しながら見られる話になっていた。こういう、たぶんそうなるなが、そうきたかと思わせる話は、好きだ。そこに、心霊現象特有のおどろおどろしさが加わって、決めのシーンは、かなり怖かった。ある意味でツッコミ所なのだけど、そういう作りでありながら、いつもの面々との馴染み深さまで構築できたのは凄い。
『天保異聞 妖奇士』
ゆったりと、しかしながら力強く、陰鬱だった。それというのも、暗喩が多いのに、その殆どが、暗くなるようなものばかりで、負の展覧会といった様相で、見ていて機が重くなることが多かったからだ。
打ち切りなのだろう。終盤になって、それまでと比べると詰込過ぎとも思える内容になってきたが、逆に、それまでの空気が払拭された。それだけでなく、打ち切りに対する暗喩が散見されたけど、力強い内容でありながら、暗くならずに、アクションも魅せてくれて、最後まで序盤の雰囲気を引き摺るよりは、遥かに良かった。
そう見えたということは、素材自体は悪くなかったということだろう。あのPが関る作品の全てが持っている、安いのに暗くなる雰囲気を、こうやって打ち切りを隠れ蓑にして、吹き飛ばしてしまえたことは、流石だ。
ゆったりと、しかしながら力強く、陰鬱だった。それというのも、暗喩が多いのに、その殆どが、暗くなるようなものばかりで、負の展覧会といった様相で、見ていて機が重くなることが多かったからだ。
打ち切りなのだろう。終盤になって、それまでと比べると詰込過ぎとも思える内容になってきたが、逆に、それまでの空気が払拭された。それだけでなく、打ち切りに対する暗喩が散見されたけど、力強い内容でありながら、暗くならずに、アクションも魅せてくれて、最後まで序盤の雰囲気を引き摺るよりは、遥かに良かった。
そう見えたということは、素材自体は悪くなかったということだろう。あのPが関る作品の全てが持っている、安いのに暗くなる雰囲気を、こうやって打ち切りを隠れ蓑にして、吹き飛ばしてしまえたことは、流石だ。