『へうげもの』第4話
帝の御前で御馬揃え、数寄者としての心意気を見せる一世一代の機会とばかりに、各々が変わり種を用意する。相変わらず華やかな信長、対して左介はというとルソンの布地でこしらえた衣装を纏って義理の兄と居並ぶ。南方の島の物ゆえ縞模様と称され注目を集め、帝の御前で数寄者の心意気を見せられたことに満足する。が、横からやって来た織田長益の面構えと着こなしが全てを持って行った。御馬揃えが終わって上機嫌の信長は、光秀から家臣への処遇を再考するよう促されるも、古いものを切って捨てんと言わんばかりで確執は深まる。
後日、焼き上がった漆黒の茶碗を深く見入る宗易、黒という色への思い、無駄を排した佇まいへの思い、質感が描き絵ゆえの限界を感じさせるのは辛いが見応えはある。そこへ左介が秀吉と共に宗易に招かれやってくる。佐介は宗易の弟子である山上宗二との茶席の準備中、平蜘蛛のことや名器を見た数で火花を散らす。平蜘蛛も良いものとして描かれていたが、それを更に上回るものがあるとか。知ったか振りを装うとする佐介だが、諦めて素直に教えを乞う。天下に轟く三つの茶入れ、それを手にしたものは天下を制すとまで評されるものがあるとか、内二つが信長の元へと集まり、後の一つも手に入れるべく画策していることが語られる。天下取りが武力のみによって行われるような印象しか持っていなかったので、この文化的な意味でも制圧が行われており、情勢と重なる部分があるというのは面白い見方だなと。まあ、自分の教養の無さも浮き彫りにされているようでもあるが……。
一方の宗易と秀吉は、師としてだけでなく父親のようにも思えるとの秀吉の発言や、同じような立志を持つ互いの境遇、その上での違いである黒を好むことへの疑問が呈される。無駄を排した上で辿り着く色であり、渡来品にはない価値観であり、一方で渡来品ばかりが持てはやされることへの疑念と怒り、既存の価値観を破壊してでも、黒のような美しさを好む価値観を天下に広めたい。そのためには、秀吉に天下取りをしてもらう他ないと。忠義を考えれば、切り捨てられてもおかしくない発言は、おっさん系や渋い系の演者好きにとってはたまらない場面だった。だからこそ今回の次回予告は武か数寄かそれが問題にて候の台詞が映える。
下着に、髪にと、やはり黒は違いますな。

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okm

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