料理を題材にしたアニメを大きく分けると、日常における料理を扱った作品と、料理人における日常を扱った作品に分けられる。
日常における料理を扱った作品は『クッキングパパ』が挙げられる。この作品では、家族や職場とそこでの人間関係といった日常が描かれ、その中でキャラクターが料理を振舞う形であり、味を競うことはほぼない。
料理人における日常を扱った作品は『ミスター味っ子』が挙げられる。この作品では、大衆食堂の息子が料理人として、色々な料理勝負を経て成長していく姿が描かれている。
料理を題材にした勝負といっても、単に技術の勝る方が勝つのではない。独創性が勝負の分かれ目になることも多いが、根底にあるのは食べる人の喜びを追及しているかどうかの理念であり、如何に技術や独創性に優れていようとも理念無き者は敗れる。また、お互いに理念を追求した上での勝負や同じ求道者としての情が見所といえる。そこまで来ると、勝ち負けを決める意味が無いようにすら思えるが、勝ち負けを決める話は分かり易い点を挙げておきたい。
両者の相違点は、料理の味を競い、一応の勝ち負けを付けるかどうかだ。一方、共通点は、美味しい料理を作って食べてもらおうとする姿勢とそのための手間暇だ。
そこから考えると、相違点に挙げたものは、共通点に挙げたものを見せるための方法の違いであって、根の部分では同じテーマを持った作品だといえる。
別段、悪人や金儲け第一でも美味い料理が作れないわけではないのだが、勝負のあやとなるのが理念である点は、正々堂々の精神を体現したものであり、それが受け入れられる文化や価値観が背景にあると考えられる。要は、美味い料理を作ることは手段であり、目的は食べてもらう人の幸せにある。
なぜ、良いものをつくるのか。それは、享受する人に幸せを与えるからであり、そこに矜持があるからだ。

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