『DARKER THAN BLACK-流星の双子-』
今シリーズの鍵である「イザナギ」「イザナミ」から連想されるのは、天地創造であり、創造したもう一つの地球、それは蘇芳達のいる天国、あるいはいるべき場所として思い描いた楽園と呼ぶべきものかもしれない。また、黒にとって唯一無二の妹の代償であった銀と、対価によって若返り妹的容姿になったアンバーは物語の重要人物である。
また、黒の契約者では、猫が母、黄が父、黒が兄、銀が妹のような擬似家族を構成していた。一方、流星の双子では、猫が母、黒が父であり兄、蘇芳が妹、ジュライは弟もしくは客である。共通しているのは、黒が兄であることだが、流星の双子では初めは父になりきれないある中の兄だが、段々と父へと役割を変えていく。
「イザナギ」「イザナミ」は同時に生まれた神であり、双子的兄弟的だが、人間のように同じ母から生まれた兄弟とは意味合いが違う。銀は「イザナミ」だ。作中とは異なるが、概念的に「イザナギ」は黒だ。よって、それまでの擬似的な兄妹の関係を解消し「イザナギ」「イザナミ」と見立てることで、晴れて夫婦になれる。まあ、そんな作品だと考えれば、課長は妹の代償にはなれないし、「イザナミ」でもないのだから振られたのは当然かなと。
勿論、紫苑と蘇芳も正に「イザナギ」「イザナミ」だ。作中唯一の双子であることと、擬似家族における妹であり娘である蘇芳が擬似的存在であること、そして彼女は「イザナミ」の向かう場所へ。となると、銀も恐らくは……。しかしながら、紫苑は蘇芳を幸せな場所へと送るところが神話とは異なる。その優しさがこの作品の持ち味だ。
なるほど、分かりやすい兄と妹の物語であり、一見投げっぱなしと御都合主義的妄想を垣間見させただけに見えた展開も意味はあった。

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okm

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