『獣の奏者エリン』第33話
籠の鳥と王獣の置かれた状況に自分を重ねるキリクの自由に飛びたかったのに、飛べるはずがない、飛んで欲しくない、飛ばないべきだ、いや本当は飛べるはずだ、飛べ、嗚呼飛んだのかといった心理的変遷がありありと描かれる。エリンはエリンで野生の動物としての王獣を尊重しようとする。それを受けた流れで飛翔する王獣リランには飛翔時に輝く視覚的美しさも加わって、雛の巣立ちを見守るドキュメンタリーのように思える。だが、それは決して巣立ちではなく、かえって自由からは遠い籠の中にいることを強調する形になっている。そうした埋めようもない溝が不幸を予兆しているようで暗い影を落としているが、その中にあっても明るく力強い意思や息遣いがあって見入ってしまう。

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