『海月姫』
海月マニアが珍しかったものの、主流の萌えとかラノベと路線が違うだけで、別段新しい何かは感じなかった。むしろ、新しくはないが堅実に作ってあった点が良かった。海月の美しさを見立てたドレスが実際に画面で見栄えしたのは幸運だったと思う。これが見栄えしないとなると、作品の説得力が無くなってしまうし、映像にしてみないことには分からないこともある。兄貴と総理のキャラが演者も含めて気に入っていた。良い作品でした。
『おとめ妖怪ざくろ』
キャラの名前が読みにくい漢字なのであまり感想を書かなかったが、煮え切らない加減で終始ニヤニヤ出来た。勿論、煮え切る終わり方ではあるため、好印象を後押ししている。
強固なカップリングを地盤とした作品は、キャラ押しに限界があるなと思った。でも、キャラ以外も整った良い作品だったので良し。
『アマガミSS』
恐らく隠しキャラであろうストーカーチックなヒロインのおまけ編を最後に持ってきて、フラグ破壊しながら総集編的に作品を振り返る。いかにエロを間接的に見せるかに特化させ、ヒロインも含めて手を変え品を変え試した実験的ではあるが、ゲームにおけるルートの見せ方に一つの解答を示した。作画の水準も満足で、流石ダディャーナサンでしたな。
『それでも町は廻っている』
前時代的な商店街の喫茶店を中心に繰り広げられるちょっとお馬鹿で楽しいやり取り、脇を固める面々が演者も含めて普通なんだけど普通じゃない絶妙の渋さが光る。悲喜交々あるけど、社会の一角の小社会である町はそれでも廻っている。人間の代替可能な面と大体不可能な面を硬軟、緩急で上手くまとめていた。まるで少し前まで近所の喫茶店で繰り広げていられたかのようなホッとするやり取り、大好きでした。
『荒川アンダーザブリッジ×2』
新キャラも増えつつ、現実の河川敷を舞台にしていることを忘れさせる登場人物が繰り広げるコント満載の作品だった。で、色々設定やキャラが増えたものの、結局の所、作品の仕掛けの肝であるニノが金星人なのかどうかが保留のまま終わった。どっちにしても大団円を迎えられると思えるように描かれている点は良い。でも、どうしても消化不良ではある。
『FORTUNE ARTERIAL 赤い約束』
吸血鬼としての吸血衝動で引っ張りまくったが、やっと見つけた居場所である学園での楽しい共同生活はこれからだEND。と、これからの生活でおいて発生するであろう問題は絆で解決していけそうな予感を漂わせるだけの終わり方。その辺のもっと将来的な部分も含めた学園生活の後はゲームではあるのかもしれない。ならば、原作ゲームに誘導するという意味で面白い試みだと思う。
OPの血の赤を基調とした見せ方は良く、キャラの絵も統一を保てている方だった。ただ、単体で考えると、後日談の尺が少なくて物足りない。眷属になるにしろ、乗り越えてならないにしろ、幸せな二人を見てニヤニヤしたいっす。
『ぬらりひょんの孫』
妖怪であることを隠しながら続ける学園生活に忍び寄る不穏な気配と三代目としての才覚を見せるまでの前半。
同じように、大妖怪の血脈にあり、多くの妖怪を従えこそしているが、自分を慕う仲間を裏切って殺すことで得られる恐怖と互いに信じることで得られる畏怖の違いが対比になっていく後半。
総集編をそれぞれの最後に用意しつつ、「おそれ」に対する解釈の違いで持って生まれた器が表現されていた。その上で、主人公が力への恐れによって抑えていた真の力を開放して勝つ。要は、強さと憐みが相反するものではないことを見せるのに終始していた。
そんなこんなで、本格的なバトル路線を予感させつつ幕引き。続編でバトル路線になったとしても、根っこの部分で男気があるので大丈夫そうかな。墨絵とBGMを気に入って見てた。
『心霊探偵 八雲』
死者の魂は思いの塊であり、特殊な眼を持つ八雲にはそれが見える。勿論、八雲の眼を通して描かれているから、こちらにも見える。が、それは本来見えないものであり、死して残るものかは分からない。だが、死者と縁のある人々の思いと重なって描かれる様は、魂以外の形で死してなお残るものであろう。事件を通し、晴香を通し、人との関わりに光明を見出していく八雲同様に、その姿や死してなお残るものを通して見ているこちらも救われた気持ちになる。現実に近い世界の現実的な死因で人の死を扱う以上は、暗くならざるを得ず、楽しさや面白さとは少々違った雰囲気になるが、素直に悲しみ、受け入れ、生きている人々で分かち合う。それがとても良かった。
『ヨスガノソラ』
まあ、諸々の危険性はあるものの、別に高校生がセックスしようと、リアルっちゃリアルだ。アニメで濡れ場をやったら駄目ってこともないし、愛情表現におけるお肌の触れ合いとしてこの上なく簡易で強烈なのは間違いない。光や影で隠すようなレイアウトでその場面を描くべきだったかは分からないが、行為が話に深みを出していたのも確か。逆風の中、王道を行く技あり。まさか、のENDに行ったが、Cパートがあったことで和らいだ。このCパート、番外ながら実質的に毎回の〆だったことで、独特のお馬鹿で楽しい雰囲気が本編の深刻な雰囲気を和らげていた。構成としては番外なのだが、機能としては本編だった。技あり。合わせて一本。
『夢色パティシエールSP プロフェッショナル』
菓子職人の夢を目指し、美味しいものを食べて喜んでもらう努力と工夫を重ねた中学時代の無印に対し、高校生となり現実に店を運営しながらそれを実現していくことになった本作。成長したいちご達の姿は、未来の視聴対象者の姿の暗喩でもある。そして、高校生の夢ともなれば、進路の側面は避けがたい。理想と現実がぶつかり妥協がちらつく中で、出来る範囲で出来ることを最大限に工夫し頑張る。それは原点である食べた人の喜びのためでもあり、経営のためでもある。だからこそ、伴う結果が妥当に見える。恋愛の側面も、高校を卒業する年齢の男女が結婚出来ることを考えれば、避けて通ることでもあるまい。ぎこちないながらも、各々が夢を現実にするために歩き出した姿として上手くまとめていたと思う。それと、本来ミニコーナーは本編の感想や評価と考えるべきではないと思っているが、最終回で監修の青木さんから若人達へ送った「ライバルとしてパリに出店してくる日を楽しみにしている」趣旨の発言が良かった。
一様に頑張る可愛らしいキャラクターを通して、理想と現実は必ずしも対立するものではなく、共存出来るものだと強く訴える大人の矜持を見た。堂々の俺殿堂入り。ありがとう、お疲れ様。
『探偵オペラ ミルキィホームズ』
最高の好敵手と最高の闘いを繰り広げる。大方の想像通りの目的達成とトイズ復活の双璧を土台に、主要なキャラクターと街を紹介して行く作りになっていた。ゆえに、トイズが失われたというか、失われているからゆえか。まさに、必要十分の匙加減で、お馬鹿なやり取りを楽しめる作品だった。何が見所かと言われると楽しい雰囲気位しかないが、見終わってそれがちゃんと残っているのは良いですね。続きそうな落ちに、ワクワクしてきたぞ。
『侵略!イカ娘』
謎の生命体でなければ、誇大妄想少女でしかないのだが、そこは謎の生命体である特性を生かしつつ、可愛らしく見える日常生活が繰り広げられた。特に、色恋の匂いがしない所が肝だったと思う。この愛玩動物の日常から可愛く見える部分のみを抜き出したかのような作りにおいて、発情や交尾なんぞ見たくもない。発情というか愛でてホッとするのは俺だ。そんな欲求を叶える下世話な作品だった。
侵略するぞとやってきた時点で、俺の頭は侵略されていた。お見事。また来てね。
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』
リア充の、妹が、オタ趣味、悩んでて、相談に来る。妹系、エロゲオタ、オタ友居なくて寂しいぞ。兄との関係、ますます複雑。だけどもね、気付いたら、友達出来て、小説アニメ化。
深刻に悩む必要のないことを深刻に悩むのは、若さとか幼さによる等身大の姿として共感出来る部分はあるものの、もう少し年を取れば葛藤する程のことでもないのは確かだ。気が付けば全方位フラグ包囲網を敷いていたり、事ある毎に喚く癖に何でも卒なくこなす、兄妹揃ってのリア充振りを見せつけ続ける。で、結局は本当に人生において葛藤になりそうなことは特に無かった。
展開で期待した方向が見当違いだったのは重々承知だが、オラこんな連中嫌だ。と、嫉妬のマントを翻すのであった。
『神のみぞ知るセカイ』
序盤の世界観の説明とヒロインの攻略を同時にやってのける展開はスピード感があって面白かったが、段々掘り下げというか間延びしていって、最終回のような短編こそ綺麗にまとまってはいるものの、対話が少ないので物足りなかった。根本的な問題として、ヒロインの攻略自体の中身も無ければ、個々のキャラクターの深い部分も見せられない。作業的に攻略していくといっても、現実世界でやれば必ず心を持った人間が居るのだから、同じようで違う部分があってそれが見せ所かと思っていた。だが、まだそこまで話が展開していないのか無いのか分からないが、見せられることなく終わった。個々のパロディーや妄想の暴走は楽しくはあったが、物足りないのも事実。以上、第一部完。お疲れ様でした。
『もっとToLOVEる』
続編にて覚醒しました。一言でいうとそうなる。要は、光と影によって性的な部分や描写を隠した光と影の狭間の世界にいったということ。また、何気ない場面でさり気ない仕草で相手を思いやる気持ちが垣間見える。だから、リトさんは特級フラグ建築士なのでございます。加えて、偶発するピタゴラエロスイッチの星の定めをお持ちでもあります。リトさんの立てられたフラグの数々や出会ったエロスイッチの数々、大変美味しゅうございました。またのご帰還を心よりお待ちしております。
『そらのおとしものf 』
アンドロイドだか何だか知らないが、要は人型で女性の容姿に感情がある。でそんなのが、何体も同居することになって、幼馴染もいる。となれば、番いを当然とする現代の価値観から考えて、大人になれば誰かを選ばなければならない。だが、少年であるがゆえに現在は一種のモラトリアムといえる。その欺瞞を暴く落ちを持ってくるところが流石だ。
可愛い子が居れば万事幸せに、平和な日常を望む。その一点でフラグを立て続ける。しかしながら、煩悩に忠実に振舞い、それが本筋へと繋がっていく。パンツロボの復活や射的屋のおっさんの再登場、エロにうんことふざけておきながら、思い出したかのように地上の人間をごみ同然に扱うエンジェロイドのマスターの残虐な刺客が投入される硬軟が上手い。映画化決定の予告におめでとうと思うのも久々で、次なるテレビシリーズにも期待したい。
『薄桜鬼 碧血録』
これ言うと作品そのものを否定するようだけど、千鶴の存在で命を懸ける男達の意地とか矜持が薄れてしまっている面が気になった。勿論、美麗なキャラクターの様式美と史実の経緯が上手くまとめてあるからこそ湧いてくる感覚ではある。負け戦の様相を呈しているのが明白であっても、最後まで信じるもののために闘う姿。不合理だろうと、そこにある美学が感じられる。だからこそ、己の個人的性愛でもって闘うことになる結末で統一が乱れた。それを抜きにすれば、処刑されるキャラ以外に史実で死ぬことになるキャラを羅刹という必ず滅びを迎える存在に変えるやり方が、メタ的で上手く機能していたと思う。勿論、最後以外は、集った若者達が信じるもののために闘う姿を時系列に沿って丁寧にかつ美麗に描いていた。何というか、良い作品なのだけど、構造上の限界を露呈したとでもいうべきか。
『けいおん!!』
本編は本編として一区切りが付いた。一方で、番外編は番外編で補完の役割を無事に果たした。いくらお嬢様方とはいえども、それなりのお金を掛けた趣味なのだから、もう少し練習に熱を入れるなり、本気でプロを目指すような気概があってもと思う。まあ、金掛けたからという発想自体がずれているような気もするし、部室に集まって駄弁るのが部活の目的化している面もあるし、汗臭さを感じさせないのがこの作品の目指した方向でもある。
日常を貫く物語には乏しいが、日常におけるあれやこれやを細かい所作も含め映像に落とし込むことで情報量を上げて行き、最終的に物語にまとめていた。というよりも、それだけで作り上げた面があって、確かな制作能力に裏打ちされており、作品の方向性と噛み合っていたと思う。終わった感じに乏しい終わり方も、映画化決定から予想通りの作品継続で、儲かりまくっているだけにあっさりと放しはしないでしょうな。シリーズが綺麗に終われると良いですね。
『世紀末オカルト学院』
オカルトの胡散臭さを盛り込みつつ、もしかしたらあるかもしれない不思議をフィクションらしく用意して、笑いもある。今更ノストラダムスの鍵で名称を持ち出してと思ったが、あくまでもそれを探す人物を中心にやり取りを見せる方へ向かった。二人の絆と奇跡を同調させるのは、ありがちだが流れを作って来たからこそ身の丈にあっていると思えるもので良かった。ありがちだけど基本や手続きに忠実なやり方が、俺の好きなアニメの力。
『セキレイ Pure Engagement』
やっとこさ全てのセキレイが揃い踏みして、主人公の周りも確定した。それ以外の点で言えば、特に話が進展しているようでしていない。アパートの仲間が不幸にも命を落としたが、盛り上げ方というか、闘いの定めも含めての雰囲気を受けた流れが組めていなかったように思える。
ただ、逼迫した状況の中でのクーの電話ネタによる笑いと安心感は良かった。要するに、深刻な話と日常とが、情報としても見せ方としても乖離している。設定上いずれは闘う定めにあるのだが、それでも綺麗どころの選り取り緑でほのぼのとした欺瞞的な日常に魅力を持たせた作品なのだから、それを踏まえた選択を見せて欲しいのだが、あるのは謎に基づいた巻き込まれの話だけと。
完結までの途上である以上仕方ない部分もあるので、売れて続編での完結に期待しておこうか。

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okm

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